2014年7月3日木曜日

DNA型鑑定

栃木県足利市で90年、当時4歳の女児が殺害された事件をめぐり、無期懲役判決が確定した菅家利和受刑者(62)の再審請求の即時抗告審で、東京高裁が依頼した鑑定の結果、女児の着衣に付いていた体液と、菅家受刑者から採取した血液などのDNA型が一致しない可能性が高いことが関係者の話でわかった。

この事件では、犯罪捜査に活用されるようになって間もないDNA型鑑定が逮捕の決め手となり、一審・宇都宮地裁から最高裁まで、その鑑定の証拠能力が認められていた。「不一致」が正式な結論となれば、確定判決の有力な根拠を覆す形となり、再審開始の可能性が高まりそうだ。

事件は90年5月、足利市内のパチンコ店駐車場で1人で遊んでいた女児が行方不明になり、翌日午前、近くの渡良瀬川河川敷で遺体で発見された。菅家受刑者は一審の公判途中で否認したが、確定判決によると、DNA型鑑定で、女児の着衣に付着していた体液と、菅家受刑者が出したごみ袋の中から採取した体液が一致したとされる。

これに対し、弁護団は当時のDNA型鑑定は信用できないなどとして02年に再審を請求。昨年2月、宇都宮地裁が請求棄却を決定し、弁護団は即時抗告した。東京高裁は同12月、再鑑定実施を決定。検察、弁護側がそれぞれ推薦した鑑定人が調べていた。

双方の鑑定の結果、いずれもDNA型が一致するとの結果を得られなかったとみられる。鑑定人は今月末をめどに、最終的な結果を東京高裁に提出する見通しだ。

警察によるDNA型鑑定は警察庁科学警察研究所(科警研)が89年に始め、3年後に全国の警察で導入。当初は「16~94人に1人」を識別できる程度の精度しかなく、捜査でも補助的な役割だった。現在は「4兆7千億人に1人」の確率で識別できる。