2016年4月5日火曜日

リストラクチュアリング・ブーム

リストラクチュアリングという用語は、国際金融や財務会計上は累積債務や長短の負債項目の内容構成を改善するための財務的対応を概括する言葉として一般に知られている。

たとえば、金利低下期には長期高利負債を短期低利借入れに切り替える、長期借入れを資本金に置き換えるなどの財務実務をいうのであるし、累積債務国側では高利の先進国民間商業銀行よりの借入れ金を先進国政府よりの低利政府間開発援助に乗り換えるなどもいうのである。

経営学上も不採算部門の売却・切り離し・他社高収益部門の買収等による法人企業財務・経営体質の改善、つまり「再編成、再構築」の意味で企業活性化の一手段としてとらえられている。しかし、リストラクチュアリングという表現が国際金融の面で注目されるのは、後段の経営学上の問題である。

現在、世界の商業銀行群のマーチャント・バンキング化が衆目を集めている中で、この語はいわゆるM&Aと略称される合併・買収のソフィスティケートされた言い換えであるといってもよい。松井和夫氏はM&Aよりリストラクチュアリングの方がむしろ上位の包括的概念と定義されている。