2015年11月5日木曜日

ニューヨーク証券取引所の時価総額を追いこしている

おそらく米国は二、六〇〇億ドルを超す負債超過として、債務国の深みにはまりこみ、英国は一、〇〇〇億ドル見当の、西独は七〇〇億ドルほどの純資産の債権国家である。もうひとつの数字は、六二年四月末現在の東京証券取引所第一部時価総額四一六兆円である。すでに世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所の時価総額を追いこしているのである。現在の日米経済の関係を二言で表現するのはむずかしい。まず、基本的に敗戦後から現在までの繁栄の基礎は米国の温情と庇護である。そうでないというなら、ソ連掌握下の東欧諸国の現状と対比してみれば一目瞭然である。もちろん、米国の対アジア政策という冷徹な方針もある。しかし、次第に狼の子は育っていく。肩幅も広く、筋骨たくましくなってくる。その言動も不逞となり、米国と対等づきあいをしたがる。現実に経済の面ではすでに米国を支えるまでになってきている。

ユーロCD、FRNの短期証券化、ユーローノート、短期調達ファシリティの一般化などによってユーロ短期証券市場が漸次確立してきた土壌があったこと、短期証券ファシリティと異なって銀行による引受けコミットメントはないので、逆に手数料も低廉で、関係銀行にとっても前記の当局自己資本ならびにリスターアセット両規制にふれないため自由な発行が保障されていること、投資家層も短期証券の取扱いに習熟してきたことである。

NIF、RUFのように多数の銀行団による中長期資金供与保証枠設定が不要であるため、機動的発行が可能であり、またそのような長期保証が本来不要ではあったが、従来からNIF等を利用してきた優良発行体がユーロCPヘシフトしてきたこと、短期資金しか資金ニーズのない優良発行体のユーロCP市場参入シフト、米国でCPを発行している企業の金利裁定、調達手段の多様化、一九八〇年代に入り銀行預金の絶対的信頼度の低下、米国CP市場の活況の影響などがある。

ユーロCPの発行体は政府・政府機関、優良企業等で、国籍は大半が先進国の知名度の高いものが選ばれている。現在、よりいっそうの拡大をめざして格付け、発行様式統一化、流通市場の育成、決済方法の定型化などの動きがあり、すでに英、フランス、オランダ、デンマーク、日本が国内金融市場商品として発行を認められている。今後、短期・低利の資金調達源の中心をなす金融手段として引続き積極的な利用がみこまれている。