2014年11月5日水曜日

e‐ビジネスの特徴

ユナイテッドーテクノロジーは、部品供給をウェブサイトで募集したところ、たちまち申し出が殺到し、入札価格を当初見積もりの二四〇〇万ドルから1000万ドルも切り下げることに成功した。企業向けの販売にも、ネットワークが活用されている。ミラクロン(Milacron)という金属加工機器の会社は、ウェブサイトを通じて五万点の商品を一〇万以上の企業に対して販売し始めた。オンラインを通じた取引を行なうことで、小規模な顧客に対しても、大企業と同等のサービスを提供することができる。

シスコーシステムズ(急成長しているインターネット関連機器の製造メーカーでは、全販売額の七五%はインターネットを通じて行なわれ、その約半分は、人間の手かぶれないままに処理されて製造工程に入るという。企業を相手にしたオークションサイトも多い。マーシャル(Marshall)社は、半導体の取引市場を提供するサイトを運営している。メーカーと顧客が価格交渉を行なったり、メーカーが余剰在庫やデッドストックを特価で放出したり、バイヤーが価格を指定する指し値取引を行なったりすることができる。このサイトを利用することで、メーカーは取引先を見出す機会を増やすことができ、価格変動の激しい半導体の余剰在庫を抱えるリスクを減らすことができる。

この他にも、ネットーマーケットを創出するサイトが続々と登場している。分野も、製紙、住宅ローン、運輸(トラックの空きスペース)などに広がっている。企業間のネットーオークショソ型電子商取引は、日本でも行なわれるようになった。コマツの子会社で中古建機を販売するコマツクイックは、九九年一月に初めて行なったネットーオークションで、インターネット経由の年間売上の三分の一にあたる七〇〇〇万円を四日間で売り上げたという。

このように、情報に直接関連する産業だけでなく、製造業も含めた経済活動のなかで、情報に関連する部分が大きく変わってゆくのである。また、消費者とのインターフェイスだけでなく、企業活動の全体をインターネット技術を用いて新しい仕組みに改造する動きが生じているのだ。これは、経済活動の全体が新しいスタイルに移行することを意味する。

米国では、企業間の電子商取引は、消費者を相手にするものの五倍の規模になっている。これは、「BいB」(Business to Business E-Commerce)と呼ばれる。九八年のBいBの市場規模は四三〇億ドルだが、二〇〇二年には、八四二〇億ドルに拡大し、二〇〇三年までに一・三兆ドルに達するという予測もある。ネットワークを活用する新しい経済活動は、つぎのような重要な特徴をもっている。第一は、技術進歩や事業の展開がきわめて急速なことだ。「インターネットの世界はドックイヤー」といわれる。犬は一年間に人間の七歳分の年をとる。インターネットの世界では、ほかの世界で七年間に起こることが一年間に起こってしまう、という意味だ。