2016年1月7日木曜日

ユーロ市場内の各市場

では国際金融市場としてのユーロ市場をどうとらえればよいだろうか。前記のとおり、短期の資金貸借という伝統的なユーロ取引市場がある。

ただこれは、前にのべたような東京外国為替市場のように、円ドル間とか円マルクのような異種通貨間の売買(直物・先物)やドルスワップのようにドルードル間で期間や金利の異なる取引対象を売買する市場ではない。ユーロのこのような資金貸借市場は、基本的に定期預金取引であるといったほうが早わかりするであろう。

外為資金売買市場はもちろん国際金融市場の一環ではあるが、むしろ国内市場のひとつの市場分肢であり、基本的にその国の居住者間取引を中心とする当該国主権通貨とその他の外貨の交換市場が特色である。

ところが同じ銀行の中でも、広く非居住者に金融システムを開放し、居住者・非居住者間で当該主権通貨以外の通貨を自由に貸借する市場をユーロ通貨取引市場と呼んでいる。

つまり、ロンドンで英ポンドを居住者間、居住者非居住者間、非居住者間で取引するのはいわば国内金融取引である。しかし、同じ関係の下でマルクやドルや円を定期預金の形で貸借する市場がユーロ・カレンシー市場である。